全国電子情報技術産業厚生年金基金からのお知らせ ポータビリティ制度の実施について
1.ポータビリティ制度実施の経緯
 企業年金制度は、従来、厚生年金基金制度と適格退職年金制度が両立してきましたが、この両制度間においては、設立経緯や担当行政等が異なっていたことから、制度間調整が行われていませんでした。
 しかし、平成13年10月に施行された確定拠出年金制度と平成14年4月に施行された確定給付企業年金制度の実施により、厚生年金基金制度を加えた企業年金3制度が整備されることとなり、これら企業年金3制度間の調整が図られる基盤が整えられました。
 そこで、昨年6月に成立した年金改正法に、企業年金3制度間における調整としてポータビリティの実施に関する事項が盛り込まれ、平成17年10月から実施されることになりました。
2.ポータビリティ制度の概要
 ポータビリティは、企業年金制度間において、転職にあたり加入期間や給付額等を通算する機能をいい、その対象者は年金受給権を満たさない中途脱退者であり、原則として、規約に規定したうえで本人の申出により行うこととしています。このポータビリティには退職に際して行う場合と再就職に際して行う場合があり、退職に際して行う場合は基本部分の権利義務の移転と脱退一時金相当額の移換があり、再就職に際して行う場合は基本部分の権利義務の承継と脱退一時金相当額の受換があります。
 退職に際して行う基本部分の移転については、他の厚生年金基金が承継しない場合は一律に企業年金連合会へ 移転しなければなりません。脱退一時金相当額の他年金への移換については、再就職先において厚生年金基金か確定給付企業年金の制度があり、その制度の規約に受入の規定がなされている場合に移換することができ、確定拠出年金への移換は本人の申出のみで実施することができることとなっています。もちろん、この申出を行わないで脱退一時金の受給を選択することもできます。
 再就職に際して行う基本部分の承継及び脱退一時金相当額の受換は、企業年金連合 会からの受入、他の厚生年金基金からの受入及び確定給付企業年金からの受入の場合がありますが、いずれも受入れる基金の任意であるとされています。企業年金連合会からの受入においては、以前に厚生年金基金連合会へ移換してある自基金分の受給権の権利義務(基本部分)や脱退一時金相当額(加算部分)も同じ扱いとなります。
 また、本人の申出は、資格喪失してから1年以内、再資格取得してから3カ月以内、どちらか最短期間が限度とされています。
 なお、脱退一時金相当額の移換と権利義務の移転・承継の詳細は次のとおりです。
次のページへ